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📚千石ブッククラブ~『バーバパパのだいサーカス』~

2023/4/23(日) コラム
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今日のおすすめ絵本

このコーナーでは、千石在住の絵本の大好きなお母さんが子どもの頃に読んだ本、子どもと読んで楽しかった本を少しずつご紹介していきます。日々の読書にお役立ていただけたら幸いです。

『バーバパパのだいサーカス』
(アネット=チゾン、タラス=テイラー/作・やました春お/訳、講談社/刊) 

 バーバパパは、とあるおうちの庭の土から生まれたおばけ。 ひとりぼっちで寂しくなったバーバパパは、ある日、世界や宇宙にパートナーを探しに出かけます。
でも誰も見つからず、あきらめて家に戻ると自分が生まれた庭と同じ場所からバーバママが生まれてきたのです。
二人はすぐに結婚。 その後、赤色のバーバブラボー、黄色のバーバズー、青色のバーバピカリ、黒色のバーバモジャ、オレンジ色のバーバリブ、紫色のバーバベル、緑色のバーバララと、次々にカラフルな子どもが誕生し、大家族になっていきます……。  1970年代に生まれたこのおはなしは、フランス人のアネットとアメリカ人のタラスの合作。
パリのリュクサンブール公園を散歩していた二人の何気ないやりとりから生まれた物語なのだそうです。
どんな形にも変形できる「バーバトリック」という力を持つバーバファミリーは、世界中でまたたくまに人気に。 70年代後半にはアニメ化され、お茶の間に浸透しました。

  その頃幼かった私は、絵本にもテレビアニメにも、ご多分に漏れずどっぷりハマりました。
友達と公園に出かけては、「私、バーバリブね!」「じゃあ私はバーバララにする」と互いに役柄を決め、その日の隊長を先頭に列をなし、「トリック、トリック、バーバトリック♪」と歌いながらみんなで滑り台をかけ上がったり、シーソーをしたり、ブランコに揺られたりしながら、暗くなるまで遊び耽ったものです。  中でもお気に入りだったのがこの『バーバパパのだいサーカス』。 サーカスが通過してしまうような小さな街の子どもたちのために、バーバファミリーがサーカス一座になり、バーバトリックで変幻自在に自分の体を変形させながら、動物のパレードをしたり、メリーゴーランドになったりしながら、子どもたちを楽しませました。 
読んでいたのは何十年も前のことですが、最近あることがきっかけでよく思い出すようになったんです。  それは「ヨギボー」。  よそのお宅にお邪魔すると見かけるようになった、自由自在に形を変えられるこの大きなクッションに、バーバパパの面影をみるのです。  想像は膨らみます。  「バーバパパたちは一体どんな触り心地なんだろう」  「ヨギボーみたいにちょっとシャカシャカしている?」  会って触ってみたいな。  おばけは怖いけど、バーバファミリーなら受け入れられそうな気もします。  「低反発まくらみたいな感触かな?」  でもやっぱり、触り心地はふわふわしているに違いありません。  何しろ、バーバパパはフランス語で「パパのひげ」=「綿菓子」なのですから。

 

【案内人 栞本ことは(しおりもと ことは)氏 (千石在住)】 
文庫活動(近所の子どもたちが自由に本が読めるよう、家の玄関先に本棚を置く)や手作り絵本の会(子どもたちが画用紙に文と絵を書き製本をし、世界に一つだけの絵本を作るお手伝い)をしていた母の影響で、自然と絵本や本に親しむようになりました。
本好きが高じて、出版社で編集の仕事をしているのですが、それでもまだ本への愛がおさまらず(?)、子どもが通う小学校で読み聞かせ隊をしたり、本のイベントをしたりしています。

 

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