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📚千石ブッククラブ~へびと船長~

2022/3/8(火) コラム
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今日のおすすめ絵本

このコーナーでは、千石在住の絵本の大好きなお母さんが子どもの頃に読んだ本、子どもと読んで楽しかった本を少しずつご紹介していきます。

日々の読書にお役立ていただけたら幸いです。

『へびと船長』(ふしみ みさを/文、ポール・コックス/絵、BL出版/刊)

 今回ご紹介する絵本は『へびと船長』。「むかし、ひとりの船長がいました。世界の海をわたりあるいた、うでのいい船のりでしたが、わるいことがかさなって、船をうしない、いまでは海辺の村で、ほそぼそとくらしていました。船長のいちばんのたのしみは、朝はやく、さんぽをすることでした」で始まるこのお話は、フランスのバスク地方のむかしばなしをもとに書かれたお話です。

 バスクは、もとは一つの国で、今はスペイン側とフランス側にわかれている大西洋に面したエリア。「海と山の幸に恵まれているから料理がとにかく美味しいのよ」と聞いた食いしん坊の私は、いてもたってもいられず飛んで行ったことがあるので、この船長さんが毎朝散歩したという海辺ののどかさが、なんとなくですがわかります。
 バスクのいたるところにあるバル(ピンチョスという小皿料理を楽しむ酒場)やカフェでは、この船長さんみたいなあごひげをたくわえたおじいさんたちが、ひなが一日おしゃべりを楽しんでいるのをよく見かけました。

 さて船長は、海辺でへびと出会ったことで再び航海をすることになるのですが、ある島で魔法使いのおばあさんに遭遇してからは様子が一変。赤い目をした魔女の手が船のりめがけて次から次へと伸びてきて、ハラハラドキドキの展開になるのです。

 それでも最後の最後まで、どこかおかしみを感じ続けてしまうのは、イラストを手がけたポール・コックスさんの独特のタッチや着彩の仕方に関係があるのかな、と思いました。
 フランス人のポールさんにとって、バスクのイメージは草原の緑と家の梁の赤。バスク人が大切にしている旗の色と同じ緑と赤が、物語の至るところで効果的に使われています。

 この本は、春日駅から千川通りを千石方面へ10分ほど歩いた所にある本屋さん、Pebbles Booksの渡辺さんにすすめていただきました。「男の子に人気なんですよ」とのことでしたが、読んでみて納得。
 冒険心がくすぐられる、ロマンあふれる一冊なんです。

Pebbles Books

〒112-0002東京都文京区小石川3-26-12
営業時間:木〜月 13:00-22:00/定休日 火・金

 

 

 

 

【案内人 栞本ことは(しおりもと ことは)氏 (千石在住)】 
文庫活動(近所の子どもたちが自由に本が読めるよう、家の玄関先に本棚を置く)や手作り絵本の会(子どもたちが画用紙に文と絵を書き製本をし、世界に一つだけの絵本を作るお手伝い)をしていた母の影響で、自然と絵本や本に親しむようになりました。
本好きが高じて、出版社で編集の仕事をしているのですが、それでもまだ本への愛がおさまらず(?)、子どもが通う小学校で読み聞かせ隊をしたり、本のイベントをしたりしています。

 

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